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チノパンツとデニムパンツ、スラックスの違いって知ってますか?

チノパンツとデニムパンツは生地の染め方と糸が違う。

メンズファッションにおける「チノパンツ(チノパン)」と「デニムパンツ」、そして「スラックス」。

これらの違いって具体的に何なのか、ご存じでしょうか?

例えば、「黒いデニムスキニーと黒のスキニーって、見た目は一緒に見えるけど?」なんて思うことありませんか?

見た目は似てるようでも、この3つは違うものなのです。今回はその違いを解説していきたいと思います。

チノパン、デニムパンツ、スラックスとは

チノパン、デニムパンツ、スラックスの3つのパンツの定義を簡潔に説明すると、以下のようになります。

チノパンツ(チノパン)

生地にチノクロスを使用したパンツ。

【参考元】吉村誠一「新版 ファッション大辞典」繊研新聞社(2019年)p458

デニムパンツ

生地にデニム生地を使用したパンツ。

ストレートデニムパンツ

▲画像のデニムパンツはこちら。

【参考元】吉村誠一「新版 ファッション大辞典」繊研新聞社(2019年)p494

スラックス

スラック(slack)は「ゆるい、たるんだ」という意味で、全体的にゆったりとしたシルエットのパンツのこと。

▲画像のスラックスはこちら。

【参考元】吉村誠一「新版 ファッション大辞典」繊研新聞社(2019年)p391

つまり、チノパンとデニムパンツには生地の違いがあり、スラックスはパンツの形状を指す言葉だということがわかります。

次からは、この生地の違いについて詳しく見ていきましょう。

“チノクロス”と“デニム生地”の違いは、染め方と糸番手

チノパンツの生地、チノクロス。デニムパンツの生地、デニム生地。

この2つの生地は、どちらも「綾織り」という織物です。ツイル生地とも呼ばれます。

しかし、やはり違いがあります。それこそが、チノパンとデニムパンツの違いになってくるのです。

チノクロスとは?

チノパンの生地であるチノクロスは、経糸(たていと)も緯糸(よこいと)も同色の糸を使って織られたものです。

また、一般的にデニム生地よりも細い糸番手を使用して作られます。

糸番手とは…

糸の太さを表す単位。

糸番手の数字が大きいほど糸の太さは細くなり、小さいほど太くなります。

細い糸を使うことで、なだらかで独特の光沢を持ち、同色の糸を使うので、均一な色合いになります。

チノパンの生地の画像

しかし、最近はチノパンの品質も様々で、さまざまな糸番手で織られたものがあります。

デニム生地とは?

対して、デニム生地とは、一般的に経糸にインディゴ染めした糸、緯糸に晒し糸を使います。

晒し糸とは…

漂白した白い糸のこと。

さらに、太番手の糸を使うことで、ごわごわしてザラッとした質感の生地に仕上がるのも特徴です。

また「綾織り」という折り方は、経糸が生地表面に多く表れ、逆に緯糸が裏面に多く表れます。

そのため、デニムは表面がインディゴ、裏面が白くなります。この白い裏面を「ホワイトバック」と言います。

また、経糸にインディゴ糸を使ったものは「ブルーデニム」、黒糸を使ったものは「ブラックデニム」、インディゴ糸以外の色糸を使ったものは「カラーデニム」と呼ばれます。

デニムの表生地と裏生地の画像

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ちなみにシャツによく使われるシャンブレー生地も経糸が色糸、緯糸が白糸ですが、織り方が【綾織り】ではなく【平織り】のものを指します。

素材の違いはない。

チノクロスとデニム生地、どちらも綿だけでなく麻やポリエステルが使われることも多いため、素材に違いはありません。

つまり、上でご紹介したように、違いは生地の「染め方」と「糸番手」になってくるのです。

チノクロスを使ったスラックスは「チノパン」とも言える。

スラックスは、パンツの形状を指すものだと、先にご紹介しました。

「全体的にゆったりとしたシルエットのパンツ」というように定義されていますが、センタープレス(折り目)が付いていたり、ベルトを通すためのベルトループが付いていたりと、スーツやジャケットに合わせるフォーマルなパンツという特徴の印象も強いですよね。

そんなスラックスには、生地にチノクロスを使ったものもあり、定義上、そのスラックスは「チノパン」と呼ぶこともできるのです。

▼スラックスについて詳しい記事はこちら。

「スラックス」とは

2019.09.20

おまけ

デニムパンツとジーンズ

では、デニムパンツとジーンズは同じものなのか?というと、

デニムパンツはジーンズとも呼ばれたりしますが、正確には「デニムパンツ=ジーンズ」ではありません。

本来ジーンズとは、ポケットの口端にリベットによる補強や、頑丈な縫製を施したワークパンツを指します。

このワークパンツはLevi’s社の創始者、リーバイ・ストラウスによって開発されました。

リベットとは?

部材同士を接ぎ合わせるために使う鋲のことです。

のちのLevi’sの生産管理者、ヤコブ・W・デイビスが、鉱山で働く炭鉱夫のためにリベット打ちのズボンを作りました。

リベットを使うことで、今まで破れやすかった箇所が補強され、次第にジーンズのアイデンティティーのひとつとなっていきました。

最初はキャンバス生地で作られていた「ジーンズ」が、インディゴ染めの「デニム」生地になり、「デニムパンツ=ジーンズ」という認識が生まれたようです。

小難しくなってしまいましたが、「デニム」とは生地の名前で、「ジーンズ」とは製品の総称なんです。

ちなみに、「ジーパン」は和製英語なので、海外では通じませんので注意してください。